歌手・鈴木一平さん
カラオケの定番曲
話は18,9年前にさかのぼる。中野在住の頃、独身時代によく通っていた駅近くのスナック「ピート」(平成5年閉店)で飲むほどに酔うほどに唄っていた。グループサウンズ系の軽いノリの歌はもちろんのこと、‘無縁坂’‘神田川’などどちらかというと静かで暗いイメージの曲も好きだった。ある時、店で働いているヒロコさんからカセットテープをいただいた。曲名は‘水鏡’、初めて耳にした時びっくりした。切なく訴えかける恋心を唄ってくれる。歌のうまさもさることながらメロディにすっかり聞き惚れてしまった。車の中のカセットで何度も聞きながらいつしか自分でも覚えカラオケで唄えるようになった。難しいけれど心を動かされる曲に廻りあえて感動した。
次に興味を抱いたのは唄っている歌手はどんな人だろうということ。6,7年前義妹から札幌の人、ラジオ番組に出ている・・と聞かされひょっとしたら会えるかもしれない・・・と思い始めた。
何故なら家内は札幌出身だし行くチャンスだってある。と、思っても仕事をもっているとなかなか機会がない。
そのうち忘れていた。
昨年秋のことである。何気なくパソコンでインターネットで彼の名前で検索してみるとホームページを開くことが出来た。驚いた。ラジオのパーソナリティを勤める傍ら今も歌手活動をされているではないか。
正直なところ、旧友にでも再会したような喜びを感じた。そこで12月1日札幌市内でコンサートがあることを知り仕事を調整して初めて会場へ入った。同世代の人たちはやはり私と同じように‘水鏡’を聞いてファンになったに違いない、なんて勝手に想像しながらいつしか彼の世界へと埋没していった。
この日まで‘水鏡’以外彼の持ち歌は何も知らなかった。最初に唄った‘雨の糸’は一生忘れないだろう。何といっても‘水鏡’しか知らない彼の持ち歌ではじめて聞く歌だから。2時間余りの時間、私は懐かしい青春時代のあの頃を思いながら店のママや従業員そして飲み仲間たちの顔を思い浮かべていた。
会場の入り口でCDの販売をしていたので1枚ずつ計5枚を買い求め義父と会場を後にした。
後日ファンクラブから私宛に直筆のサイン色紙が郵送されてきた。早速その晩行きつけの「さくら倶楽部」に行き飲み友達に見せびらかしコンサートの報告をするとともに‘水鏡’のカラオケを唄ったことは言うまでもない。
感激の対面
今年12月7日昨年と同様‘鈴木一平〆の市’が催されることを彼のホームページ上で知った。
時間を調整して札幌へ飛んだ。今回は一人っきりで彼の歌の世界に浸りたくて敢えて飛び込んでみた。
こんなことは初めてである。CDの中で最も気に入っている「ベストアルバム」を車に乗るとき聞いていたがやはり生の声はいい。会場のファンの人たちと一緒になって歌に聞き入っていた。
彼の持つ人間味がまたいい。何故か妙に親近感を持つキャラクターなのである。顔かな、話し方かなそれとも考え方に共通しているところがあるからかも知れない。
約2時間のコンサートが終わり二次会の交流会に参加させてもらった。立食パーティ形式でいくつかの丸テーブルを囲んで思い思い適当に隣になった人たちと言葉を交わした。道内のファンばかりでなく仙台、金沢、新潟からもいらしていたが私も東京から来たことを驚かれた。何よりも感激したことはご本人・鈴木一平さんと話が出来たこと。ビールでほろ酔い気分になって自分だけ出来上がってしまって一緒にカメラに収まった、記念すべき一瞬である。
翌朝7時50分発の全日空で機上の人となった。札幌へ行き家内の実家にも寄らず往復したのは結婚以来初めてのことである。その日の夜、義妹にメールで報告した。
ファンなんてそんなもの、いい年をしてなんて言われそうだがまた機会があったらコンサートに行ってみたいと思う。鈴木一平さんは特別な人ではない。でも彼の持つ感性はとてもすばらしい。共感を呼ぶのである。これからも我々の心を揺さぶる歌を作り続けてほしいと思う。(H15.12.13記)
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